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2012年11月15日木曜日

メルカトルかく語りき


ジャンル  :短編、本格ミステリ
ストーリー :7
構成    :8
文章力   :7
キャラ   :8
本格度   :9


全てがある試みの下にある短編集です。
なんと、全話とも犯人不明で終わる!犯人不在、あるいは容疑者が限定的でない。現場に残された手掛かりからメルカトル鮎の美しすぎるロジックが全編通して冴え渡るのですが、完全なる解決は(意図的に)保留されます。鬼畜なる銘探偵、メルカトルだからこそ成り立つ短編集です。
ただ書き下ろしの「密室荘」はいまいちかな。あれはもう、メルカトルと美袋のかけあいを楽しむお話。「九州旅行」とかも、笑っちゃうくらいブラックなギャグが効いてますw
以下各話のネタバレ感想より反転
「死人を起こす」:音の聞こえ方の考察は少々頭を傾げますが、問題提起としては面白い。金田一少年の天樹原作者はこれをみて、香港の事件のトリックの一つを思いついたような気がする。
「九州旅行」:いつもは美袋かわいそーって思ってしまうのですが、これは掛け合いの面白さが上回りましたw偽ダイイングメッセージのロジックは面白いのですが、現代の科学捜査では死亡推定時刻が正確に割り出されてしまいそうな気もします。
「収束」:鐘が下ろしてある理由を、あそこまで論理的に解釈できるとは……。これだから麻耶さんはやめられねぇぜ!
「答えのない絵本」:これが読みたくて買ったのですが、あまり生徒パートが関係なかった気も。深く読めば、メルカトルが隠蔽しようとした犯人がわかるのだろうか?いずれにせよロジックに痺れる!
「密室荘」:後期クイーン問題ってやつでしょうか