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2012年6月15日金曜日

むかし僕が死んだ家

 

ジャンル  :本格推理
ストーリー :9
構成    :9
文章力   :7
キャラ   :7
本格度   :9
満足度   :9

東野圭吾の作品の中で、今のところ一番好き&最高傑作だと思う。
登場人物は2人だけ、と謳ってるけど、実際脇役はたくさん出てきます。
幼い頃の記憶がない女性。彼女の元彼が同伴して、記憶の手掛かりだと女が言う寂れた別荘地へ。そこは電気もガスも通ってないのに、何故か生活の痕跡があった。
一体その家は何なのか?そこに残されていた日記を書いた少年は?

記憶がフラッシュバックしてゆくのではなく、あくまで推理から記憶を手繰ってゆく展開が素晴らしい。
またどこかホラー染みた雰囲気作りに成功していて、全編通して薄気味悪さが漂っているのもグッド
無味で簡素な文体も、今回は無駄を省くことによって生まれる恐怖感&徐々に全貌が明らむ恍惚感を表面化させることに成功していた。
ともすれば幻想ミステリーになりかねない雰囲気を醸しながらも、しっかりとロジカルに導き出される本格推理が素晴らしい。本当に凄い。売れっ子は伊達じゃない!

そして結末も良いね。予想外の真相は勿論、青春ものとしても、あの何とも言えない感じがね。