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2012年5月30日水曜日

鏡の影

ジャンル         :中世、ちょっとだけファンタジー
ストーリー        :5
キャラ          :7
文章センス      :9
ペダン      :7
総合      :6

平野さんの「日蝕」と一悶着あり、新潮社と決別したらしい佐藤亜紀の佳作
日蝕とは似ても似付かない気がするけど、まぁ本人があんな風にブログで言うのなら、少なからず真なところがあるのかも。
ただ、個人的には「日蝕」の方が好きだった。少数派かも知れんが。

ペダン味がイイ感じで効いてる。
歴史未履修の自分には読みにくい部分もあったけど、その分調べる楽しみが出来て良かった。おかげで佐藤賢一とか読み漁るきっかけになって。

この小説の難し所は、文章のテンポ。奥泉光と同じ感じの、一文がやけに長いあのリズム。
合わない人多そう。俺も最初は投げ出しました。
けれど今では見事に毒されて、この文章テンポの中毒者になっちまったよ。洗練された表現力、言葉に対する美意識さえ伝わってくる。
捻くれたキャラ同士の掛け合い、毒のある言い回し、本当に綺麗。
ただ正味な話、ストーリーそのものが微妙。
世界を変える「一点」を探す、とか、ゴーレムのemethとmeth、とか、wktk要素満載だったのに。処女懐胎オチって必要?
シュピーゲルグランツの妖しさに比べて、アルブレヒトとか微妙なキャラ過ぎだよー